問題
近くの物を見るときに形が変わらないのはどれか。
- 毛様体筋
- 虹彩
- 水晶体
- 角膜
解答: 4(角膜)
解説
- 誤り。毛様体筋は近方調節時に副交感神経(動眼神経)の興奮によって収縮するため、形が変化する。
- 誤り。虹彩は近見反応の一つである縮瞳(瞳孔括約筋の収縮)により瞳孔が縮小するため、形が変化する。
- 誤り。水晶体は毛様体筋の収縮によりチン小帯が弛緩すると、自らの弾性で厚くなるため形が変化する。
- 正しい。近くの物を見る(近方調節)とき、角膜の形は変わらない。角膜は眼球の最前面に位置する透明な組織であり、眼の屈折力の約2/3を担うが、その曲率は常に一定に保たれている。近方調節では毛様体筋が収縮→チン小帯が弛緩→水晶体が厚くなるという連動が起こり、虹彩は縮瞳するが、角膜自体は形態変化に関与しない。角膜の屈折力は約43ジオプトリーで不変であり、調節はすべて水晶体の厚さの変化で行われる。
ポイント
近方調節で形が変わるのは毛様体筋・水晶体・虹彩であり、角膜の形は変わらない。
- 覚え方のコツ: 「角膜は”硬い窓”→形は変わらない」と覚える。近見反応の三つの変化は「収・縮・厚(しゅう・しゅく・あつ)」→毛様体筋が収縮、瞳孔が縮小、水晶体が厚くなる。
- 関連知識: 問893・855・901(遠近調節の仕組み)と共通テーマである。近見反応の三要素(調節・縮瞳・輻輳)はセットで出題される。角膜の屈折異常(乱視)は角膜のゆがみによるが、これは調節による変化ではなく構造的な問題である。
- よくある間違い: 角膜が眼の屈折力の大部分を担うため「近方調節にも角膜が関与する」と誤解しやすい。角膜の屈折力は大きいが不変であり、調節は水晶体のみで行われる。
- 教科書では「a.視覚の性質」の範囲に該当する。
| 構造 | 近方調節での変化 | 関与する仕組み |
|---|---|---|
| 毛様体筋 | 収縮する | 副交感神経(動眼神経)による |
| チン小帯 | 弛緩する | 毛様体筋収縮により張力低下 |
| 水晶体 | 厚くなる | 弾性により自ら膨隆 |
| 虹彩 | 縮瞳する | 瞳孔括約筋の収縮 |
| 角膜 | 変化しない | 常に一定の曲率を保持 |
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