問題
膵液について正しい記述はどれか。
- 重炭酸ナトリウムは脂肪を分解する。
- アミラーゼはブドウ糖を分解する。
- トリプシンは蛋白質を分解する。
- リパーゼは核酸を分解する。
解答: 3(トリプシンは蛋白質を分解する。)
解説
- 誤り。重炭酸ナトリウム(NaHCO3)は脂肪を分解する酵素ではない。NaHCO3は膵液を弱アルカリ性(pH約8)にし、胃から送られた強酸性の糜粥を中和する役割を持つ。
- 誤り。アミラーゼはブドウ糖(グルコース)を分解するのではない。アミラーゼはデンプン(多糖類)をマルトース(麦芽糖)に分解する酵素である。
- 正しい。トリプシンは膵液に含まれるタンパク質分解酵素であり、タンパク質をペプチドに分解する。トリプシンとキモトリプシン: タンパク質をペプチドに分解する。トリプシンは不活性なトリプシノゲンとして分泌され、十二指腸で小腸上皮のエンテロキナーゼにより活性化される。膵液は三大栄養素すべての消化酵素を含む唯一の消化液である。
- 誤り。リパーゼは核酸を分解するのではない。リパーゼは脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解する酵素である。核酸を分解するのはヌクレアーゼである。
ポイント
- 膵液は三大栄養素すべての消化酵素(トリプシン・リパーゼ・アミラーゼ)に加え、ヌクレアーゼとNaHCO3を含む最も多彩な消化液である。
- 覚え方のコツ: 膵液の酵素は「トリ(タンパク質)・リパ(脂肪)・アミ(デンプン)・ヌク(核酸)」と基質の頭文字で対応づける。NaHCO3は酵素ではなく中和剤である。
- 関連知識: 膵液分泌はセクレチン(HCO3-に富む膵液)とコレシストキニン(酵素に富む膵液)によって調節される。
- よくある間違い: アミラーゼの基質を「ブドウ糖」と誤解しやすいが、正しくは「デンプン(多糖類)→マルトース(二糖類)」への分解である。ブドウ糖は最終分解産物であり基質ではない。
| 成分 | 種類 | 基質・作用 | 分解産物 |
|---|---|---|---|
| トリプシン | タンパク質分解酵素 | タンパク質 | ペプチド |
| キモトリプシン | タンパク質分解酵素 | タンパク質 | ペプチド |
| リパーゼ | 脂質分解酵素 | 脂肪 | 脂肪酸+モノグリセリド |
| アミラーゼ | 糖質分解酵素 | デンプン | マルトース(麦芽糖) |
| ヌクレアーゼ | 核酸分解酵素 | 核酸 | ヌクレオチド |
| NaHCO3 | 電解質(非酵素) | 胃酸の中和 | − |
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