問題
腎臓で再吸収されないのはどれか。
- 尿 素
- アミノ酸
- 水素イオン
- ナトリウムイオン
解答: 3(水素イオン)
解説
- 誤り。尿素は近位尿細管や集合管(内髄部)で約50%が受動的に再吸収され、対向流系による尿濃縮機構の維持に重要な役割を果たす。
- 誤り。アミノ酸はほぼ100%が近位尿細管でNa⁺共輸送体(SGLT類似のトランスポーター)を介して能動的に再吸収される。
- 正しい。水素イオン(H⁺)は腎臓で再吸収されず、むしろ積極的に分泌される物質である。近位尿細管ではNa⁺/H⁺交換輸送体(NHE3)によりH⁺が管腔側へ分泌され、集合管ではα型間在細胞のH⁺-ATPaseによりH⁺が分泌される。このH⁺分泌は酸塩基平衡の調節に不可欠であり、HCO₃⁻の再吸収とセットで体液pHの維持に寄与する。H⁺は「再吸収される物質」ではなく「分泌される物質」であるという点が本問の核心である。
- 誤り。Na⁺は糸球体でろ過された後、近位尿細管で約65%、ヘンレのループで約25%、遠位尿細管・集合管で残りが再吸収され、全体で約99%以上が再吸収される。
ポイント
- H⁺は腎臓で「再吸収」されるのではなく「分泌」される物質であり、再吸収と分泌の違いを正確に理解することが重要である。
- 覚え方のコツ: 「再吸収される物質=体に戻したいもの(Na⁺、グルコース、アミノ酸、水)」「分泌される物質=体から出したいもの(H⁺、K⁺、尿酸、薬物)」と目的で分類する。
- 関連知識: H⁺の分泌はpH調節(問題432)と直結する。近位尿細管でのH⁺分泌はHCO₃⁻再吸収と連動しており、酸塩基平衡の理解に不可欠である。
- よくある間違い: 尿素は「老廃物だから再吸収されない」と考えがちだが、実際には約50%が再吸収されて尿濃縮機構に利用される。老廃物=再吸収されない、という単純な図式は成り立たない。
- 教科書では「c.尿細管の再吸収」の範囲に該当する。
| 物質 | 再吸収の有無 | 再吸収率 | 主な部位 |
|---|---|---|---|
| Na⁺ | 再吸収される | 約99% | 近位尿細管・ヘンレ・遠位・集合管 |
| グルコース | 再吸収される | 約100% | 近位尿細管 |
| アミノ酸 | 再吸収される | 約100% | 近位尿細管 |
| 尿素 | 一部再吸収される | 約50% | 近位尿細管・集合管 |
| H⁺ | 再吸収されない(分泌) | — | 近位尿細管・集合管で分泌 |
表: 主な物質の尿細管における再吸収
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