問題
腎臓でグルコースの再吸収が最も多く起こる部位はどれか。
- 近位尿細管
- ヘンレループ
- 遠位尿細管
- 集合管
解答: 1(近位尿細管)
解説
- 正しい。腎臓でグルコースの再吸収が最も多く起こるのは近位尿細管である。糸球体でろ過されたグルコースのほぼ100%が近位尿細管で再吸収される。このうち約90%はS1〜S2セグメントのSGLT2(低親和性・高容量型Na⁺/グルコース共輸送体)により、残り約10%はS3セグメントのSGLT1(高親和性・低容量型)により再吸収される。再吸収されたグルコースは基底膜側のGLUT2を介して血液中に戻る。近位尿細管はグルコース以外にもアミノ酸、Na⁺(約65%)、水、HCO₃⁻(約80〜85%)を大量に再吸収する「大量再吸収の場」である。
- 誤り。ヘンレループは主に対向流増幅系として尿の濃縮に関与する。下行脚は水の透過性が高く、上行脚はNa⁺・Cl⁻の能動輸送を行うが、グルコースの再吸収は行わない。
- 誤り。遠位尿細管はアルドステロン依存のNa⁺再吸収やCa²⁺再吸収(PTH依存)、K⁺・H⁺の分泌などの微調整を行うが、グルコースの再吸収は行わない。
- 誤り。集合管はADH依存の水再吸収やアルドステロン依存のNa⁺再吸収など最終調整を行うが、グルコースの再吸収は行わない。
ポイント
- グルコースの再吸収は近位尿細管のみで行われ、SGLT2(約90%)とSGLT1(約10%)により100%再吸収される。
- 覚え方のコツ: 「近位尿細管=大量再吸収の場」と覚える。グルコース、アミノ酸、Na⁺、水、HCO₃⁻の再吸収はすべて近位尿細管が主役。「近(きん)=金(きん)=大量に取り込む」のイメージで連想する。
- 関連知識: 血糖値が腎臓のグルコース再吸収閾値(約180mg/dL)を超えるとTm(最大輸送量)を超過し、尿糖が出現する。SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬として近位尿細管でのグルコース再吸収を抑制し、尿中にグルコースを排泄させることで血糖を低下させる。
- よくある間違い: 「集合管で最終調整としてグルコースが再吸収される」と誤答するケースがある。集合管の最終調整は水とNa⁺に限られ、グルコースは近位尿細管ですでに100%再吸収が完了している。
- 教科書では「c.尿細管の再吸収」の範囲に該当する。
| 再吸収物質 | 主な再吸収部位 | 再吸収率 | 輸送体 |
|---|---|---|---|
| グルコース | 近位尿細管 | ほぼ100% | SGLT2(90%)、SGLT1(10%) |
| アミノ酸 | 近位尿細管 | ほぼ100% | Na⁺共輸送体 |
| Na⁺ | 近位尿細管(65%)他 | 約99% | Na⁺/K⁺-ATPase、NHE3など |
| HCO₃⁻ | 近位尿細管 | 約80〜85% | Na⁺/H⁺交換 |
| 水 | 近位尿細管(65%)他 | 約99% | アクアポリン |
表: 近位尿細管で再吸収される主な物質
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