問題
胃で消化された内容物を十二指腸で中和する物質はどれか。
- 胆汁酸
- トリプシン
- 粘液
- 重炭酸ナトリウム
解答: 4(重炭酸ナトリウム)
解説
- 誤り。胆汁酸は脂肪を乳化して消化酵素リパーゼの作用を助ける物質であり、酸の中和には関与しない。
- 誤り。トリプシンはタンパク質をペプチドに分解する膵液中の消化酵素であり、中和作用は持たない。
- 誤り。粘液(ムチン)は消化管粘膜の保護に働くが、HClの化学的な中和を担う主役ではない。十二指腸腺の粘液はNaHCO3を含み中和に寄与するが、中和の主体はあくまで膵液中の重炭酸ナトリウムである。
- 正しい。膵液に含まれる重炭酸ナトリウム(NaHCO3)が十二指腸で酸性糜粥を中和する。膵液はNaHCO3を含み弱アルカリ性(pH約8)であるため、胃から送られてきたHClを大量に含む強酸性の糜粥を中和する。膵液中の消化酵素の至適pHは中性に近いものが多いため、この中和は消化作用にとって不可欠である。セクレチンがこのHCO3-に富む膵液の分泌を促進する。
ポイント
- 膵液中のNaHCO3が十二指腸で酸性糜粥を中和し、膵消化酵素が至適pHで働ける環境を整える。
- 覚え方のコツ: 「セクレチン→重曹(NaHCO3)→中和」という流れをセットで記憶する。胃酸が十二指腸に来る→セクレチン分泌→膵液(NaHCO3)分泌→中和、という一連の反応として捉える。
- 関連知識: 十二指腸腺からも粘液とNaHCO3を多く含む腸液が分泌され、酸性糜粥の中和を補助する。
- よくある間違い: 胆汁酸が中和すると誤解しやすいが、胆汁酸の役割はあくまで脂肪の乳化である。
| 物質 | 由来 | 主な役割 |
|---|---|---|
| NaHCO3(重炭酸ナトリウム) | 膵液 | 酸性糜粥の中和 |
| トリプシン・キモトリプシン | 膵液 | タンパク質の分解 |
| リパーゼ | 膵液 | 脂肪の分解 |
| アミラーゼ | 膵液 | デンプンの分解 |
| 胆汁酸 | 胆汁(肝臓で生成) | 脂肪の乳化 |
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