問題
糸球体ろ過量を増加させるのはどれか。
- 腎血流量の低下
- 血中アルブミン濃度の上昇
- 糸球体血圧の上昇
- 尿管内圧の上昇
解答: 3(糸球体血圧の上昇)
解説
- 誤り。腎血流量が低下すると糸球体への血液供給が減少し、糸球体血圧が低下するため、GFRは低下する。
- 誤り。血中アルブミン濃度の上昇は血漿膠質浸透圧を上昇させる。膠質浸透圧はろ過を妨げる力であるため、有効ろ過圧が減少しGFRは低下する。ネフローゼ症候群ではアルブミンが尿中に漏出して低アルブミン血症となり、膠質浸透圧が低下する。
- 正しい。糸球体血圧の上昇は有効ろ過圧を増大させ、GFRを増加させる。有効ろ過圧=糸球体血圧(約60mmHg)- 血漿膠質浸透圧(約25mmHg)- ボーマン嚢内圧(約15mmHg)であり、正常の有効ろ過圧は約20mmHgである。糸球体血圧は輸入細動脈の拡張や輸出細動脈の収縮により上昇する。問題437と同じテーマであるが、本問では選択肢が異なり、「腎血流量低下」「血中アルブミン濃度上昇」という間接的な因子も含まれる点がポイントである。
- 誤り。尿管内圧の上昇は尿路閉塞(結石や腫瘍など)により生じ、ボーマン嚢内圧の上昇を介してGFRを低下させる。臨床的には水腎症の原因となる。
ポイント
- GFRを増加させる唯一の因子は糸球体血圧の上昇であり、他の3つの選択肢はいずれもGFRを低下させる方向に作用する。
- 覚え方のコツ: 有効ろ過圧の式で「プラスに働くのは糸球体血圧だけ」と覚える。「GFR↑=糸球体血圧↑のみ」「GFR↓=それ以外の圧が↑」と単純化して記憶する。
- 関連知識: 輸出細動脈の収縮(アンジオテンシンIIの作用)は糸球体血圧を上昇させGFRを維持する。これはRAAS活性化時(血圧低下時)のGFR維持機構として重要であり、ACE阻害薬がGFRを低下させうる理由でもある。
- よくある間違い: 「腎血流量の低下→少ない血液を効率よくろ過するためGFR上昇」と誤答するケースがある。腎血流量の低下は糸球体への血液供給自体を減少させるため、GFRは低下する。
- 教科書では「b.糸球体濾過」の範囲に該当する。
『理由で解く 生理学』 Kindle版
本書は、生理学の各テーマを「機序・因果」の観点から再構成し、
知識の断片化を防ぎながら、臨床・学習現場で再利用しやすい理解を目指しています。初学者の学習補助だけでなく、授業設計・復習教材としても活用いただければ幸いです。
Kindle Unlimitedでも使えます。
理由で解く 生理学: 国家試験問題 941問 完全攻略 理由で解く国試過去問






コメント