問題
筋収縮においてATPのエネルギーを必要とするのはどれか。
- 横行小管の電気的興奮
- 筋小胞体からのカルシウムイオンの放出
- トロポニンとカルシウムイオンの結合
- ミオシン頭部の変位
解答: 4(ミオシン頭部の変位)
解説
- 誤り。横行小管(T管)の電気的興奮は、筋鞘膜から伝わった活動電位がNa⁺チャネルの開口による受動的な脱分極として伝導する過程であり、ATP消費を直接必要としない。
- 誤り。筋小胞体からのCa²⁺放出は、リアノジン受容体(Ca²⁺放出チャネル)の開口による濃度勾配に従った受動的拡散であり、ATPは不要である。
- 誤り。トロポニンCとCa²⁺の結合は化学的親和力に基づく自発的な結合反応であり、ATPの消費を必要としない。
- 正しい。ミオシン頭部の変位(クロスブリッジサイクル)にはATPのエネルギーが必要である。ATPがミオシン頭部に結合するとアクチンから解離し、続いてATPがADPとPiに加水分解されることでミオシン頭部がコック位置(高エネルギー状態)に復帰し、次の結合・滑走に備える。ATPなしではミオシン頭部がアクチンから解離できず、硬直状態となる。
ポイント
筋収縮過程でATPを消費するのはミオシン頭部の変位(クロスブリッジサイクル)であり、T管興奮・Ca²⁺放出・トロポニン結合はいずれもATP不要であることが最重要である。
- 覚え方のコツ: 「興奮収縮連関の初期段階(T管興奮→Ca²⁺放出→トロポニン結合)はATP不要」「実際の力学的運動(ミオシン頭部の動き)にATPが必要」と段階を分けて覚える。
- 関連知識: 問題780と同テーマであり、Ca²⁺放出がATP不要、Ca²⁺回収がATP必要、ミオシン頭部の運動がATP必要という3点を併せて整理する。
- よくある間違い: 「Ca²⁺放出にもATPが要る」と誤解するケース。放出は受動的、回収は能動的(ATP必要)と方向性で区別する。
- 教科書では「a.筋収縮のエネルギー代謝」の範囲に該当する。
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