問題
筋の収縮で誤っている記述はどれか。
- 収縮時に熱を産生する。
- 弛緩にATPは必要である。
- 筋トーヌスは姿勢保持に関与する。
- 歩行運動は等尺性収縮による。
解答: 4(歩行運動は等尺性収縮による。)
解説
- 正しい。筋収縮時にはATPの加水分解エネルギーの大部分が熱として放出される。筋のエネルギー効率は約20〜25%であり、残りの75〜80%は熱に変換される。この熱産生は体温維持に寄与する。
- 正しい。弛緩時にはCa²⁺-ATPase(SERCAポンプ)が筋小胞体にCa²⁺を能動的に取り込むためにATPが必要である。またミオシン頭部がアクチンから解離する際にもATPの結合が必要である。ATPが枯渇すると弛緩できなくなり、死後硬直が生じる。
- 正しい。筋トーヌス(筋緊張)は安静時にも持続的に見られる軽度の収縮状態であり、抗重力筋を中心に姿勢保持に重要な役割を果たしている。
- 誤り。歩行運動は関節の屈曲・伸展を伴う動的な運動であり、筋長が変化する等張性収縮(アイソトニック収縮)を主体とする。等尺性収縮(アイソメトリック収縮)は筋長が変化せず張力のみが発生する収縮であり、壁を押す動作や直立姿勢の維持などに見られる。
ポイント
歩行のように関節が動く運動は等張性収縮であり、等尺性収縮は筋長不変の静的収縮であるという区別が最重要である。
- 覚え方のコツ: 「動く運動=等張性(張力一定で長さ変化)」「動かない運動=等尺性(長さ一定で張力変化)」と「動く/動かない」で二分する。
- 関連知識: 弛緩にATPが必要であるという事実は死後硬直の理解に直結する。死後はATPが枯渇するためミオシンがアクチンから解離できず、筋が硬直する。
- よくある間違い: 弛緩にはエネルギーが不要と考えるケース。収縮だけでなく弛緩にもATPが必要であることを忘れないこと。
- 教科書では「b.等張性収縮と等尺性収縮」の範囲に該当する。
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