問題
痛覚について誤っている記述はどれか。
- 脊髄視床路を上行する。
- 順応しやすい。
- 関連痛は内臓炎症時に生じやすい。
- 鋭い痛みはAδ線維で伝えられる。
解答: 2(順応しやすい。)
解説
- 正しい。痛覚は脊髄後角で二次ニューロンに中継された後、脊髄で反対側に交叉し、脊髄視床路(外側脊髄視床路)を上行して視床を経て大脳皮質体性感覚野に伝達される。
- 誤り。痛覚は順応しにくい(ほとんど順応しない)感覚である。痛覚は生体の防御・警告系として最も重要な感覚であるため、持続的な侵害刺激に対しても受容器の感度が低下しにくい。むしろ持続刺激により痛覚過敏(hyperalgesia)や中枢性感作が生じることもある。順応しやすい感覚の代表は触覚や嗅覚である。
- 正しい。関連痛は内臓の痛みが体表の特定部位に投射される現象であり、内臓炎症時に生じやすい。例として、心筋梗塞時の左肩〜左腕の痛み、胆嚢炎時の右肩の痛みがある。
- 正しい。鋭い痛み(一次痛・速い痛み)はAδ線維(有髄、伝導速度5〜30m/s)で伝えられる。鈍い痛み(二次痛)はC線維(無髄、伝導速度0.5〜2m/s)で伝えられる。
ポイント
痛覚は生体警告系であるため順応しにくく、触覚・嗅覚のように「慣れる」ことがない。
- 覚え方のコツ: 「痛みに慣れたら危険→だから順応しない」と生理学的意義で覚える。順応しやすい感覚は「触覚・嗅覚(さわる・におう→すぐ慣れる)」と対比する。
- 関連知識: ゲートコントロール理論では、痛い部位をさすると触覚のAβ線維が脊髄後角で痛覚を抑制する(マッサージの鎮痛効果の原理)。内因性鎮痛物質(エンドルフィン、エンケファリン)も痛覚抑制に関与する。
- よくある間違い: 「痛みは時間が経てば感じにくくなる→順応する」と経験則で誤解しやすい。実際にはそれは心理的適応であり、受容器レベルの順応ではない。
- 教科書では「d.痛みの抑制系」の範囲に該当する。
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