問題
暑さに対する気候順化について誤っている記述はどれか。
- 汗腺の働きが高まる。
- 汗に含まれる塩分濃度が低下する。
- 皮膚血管が収縮する。
- 尿量が減少する。
解答: 3(皮膚血管が収縮する。)
解説
- 正しい。暑熱順化により汗腺(エクリン汗腺)の機能が向上し、発汗能力が増大する。汗の分泌量が増加し、より効率的に気化熱による放熱が行われるようになる。
- 正しい。暑熱順化が進むとアルドステロンの作用により汗腺の導管部でのNa⁺再吸収が増加し、汗に含まれる塩分濃度が低下する。これにより体内のNa⁺喪失を最小限に抑えることができる。
- 誤り。暑さへの気候順化では、放熱効率を高めるために皮膚血管は拡張する(収縮ではない)。皮膚血管の拡張により体表面への血流量が増加し、対流・輻射・伝導による放熱が促進される。暑熱順化では循環血漿量も増加するため、皮膚血管拡張による血圧低下への耐性が向上する。「収縮」は寒冷環境での反応であり、暑熱環境とは逆である。
- 正しい。暑熱環境では発汗による水分喪失が増加するため、バゾプレッシン(ADH)やアルドステロンの分泌が増加し、腎臓での水・Na⁺の再吸収が促進されて尿量が減少する。
ポイント
- 暑熱順化では皮膚血管は拡張する(収縮ではない)。拡張により放熱効率が向上する。
- 覚え方のコツ: 暑熱順化の4大変化は「汗腺パワーアップ、汗の塩分ダウン、皮膚血管拡張、尿量ダウン」と覚える。すべて「暑さに適応して体を守る方向」に変化する。
- 関連知識: 暑熱順化には約1〜2週間を要し、体温調節と体液調節の両方の適応が関わる。順化により循環血漿量が増加するのも重要な変化である。
- よくある間違い: 「皮膚血管が収縮する」は寒冷順化・寒冷環境での反応であり、暑熱順化と混同しやすい。暑い→放熱したい→血管拡張、寒い→放熱を防ぐ→血管収縮と対比して覚える。
- 教科書では「c.尿細管の再吸収」の範囲に該当する。
| 暑熱順化の変化 | 方向 | 生理的意義 |
|---|---|---|
| 汗腺の機能 | 向上 | 発汗量増加→気化熱による放熱促進 |
| 汗の塩分濃度 | 低下 | Na⁺喪失の防止 |
| 皮膚血管 | 拡張 | 体表面からの放熱促進 |
| 循環血漿量 | 増加 | 血圧維持、熱失神予防 |
| 尿量 | 減少 | ADH・アルドステロンによる体液保持 |
表: 暑熱順化で生じる主な生理的変化
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