問題
損傷直後に片側の弛緩麻痺が起こるのはどれか。
- 小脳
- 大脳基底核
- 一次運動野
- 補足運動野
解答: 3(一次運動野)
解説
- 誤り。小脳の損傷では同側の運動失調(協調運動障害、企図振戦、測定障害)が生じるが、弛緩性麻痺は起こらない。筋力は保たれる。
- 誤り。大脳基底核の損傷では不随意運動(安静時振戦、舞踏運動)や筋緊張異常(固縮)が生じるが、弛緩性麻痺は典型的ではない。
- 正しい。一次運動野(中心前回)が損傷されると、損傷直後に反対側の弛緩性麻痺が起こる。これは上位運動ニューロンの突然の断絶により、下位運動ニューロンへの促通が失われて一時的に筋緊張が低下する現象であり、脊髄ショック(皮質ショック)と呼ばれる。数日から数週間が経過すると、脊髄反射が回復して痙性麻痺(筋緊張亢進・腱反射亢進・病的反射出現)に移行する。
- 誤り。補足運動野の損傷では運動の企画・プログラミングの障害が生じるが、片側の弛緩性麻痺は典型的な症状ではない。
ポイント
一次運動野損傷の直後は弛緩性麻痺(ショック期)を呈し、その後数週間で痙性麻痺に移行する。
- 覚え方のコツ: 「上位障害は最初ゆるゆる(弛緩性)→後からカチカチ(痙性)」→ ショック期の弛緩性麻痺から痙性麻痺への移行を時間経過で覚える。
- 関連知識: 脊髄損傷でも同様に、損傷直後は脊髄ショックとして弛緩性麻痺を呈し、その後痙性麻痺に移行する。上位運動ニューロン障害と下位運動ニューロン障害の鑑別は臨床上重要である。
- よくある間違い: 上位運動ニューロン障害を「最初から痙性麻痺」と思いがちだが、損傷直後はショック期として弛緩性麻痺を呈する。痙性麻痺は回復期以降の症状である。
- 教科書では「c.脊髄ショック」の範囲に該当する。
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