問題
排尿について正しいのはどれか。
- 副交感神経が活動する。
- 尿道括約筋が収縮する。
- 随意的な制御を受けない。
- 排尿中枢は胸髄に存在する。
解答: 1(副交感神経が活動する。)
解説
- 正しい。排尿時には副交感神経(骨盤神経、S2〜S4由来)が活動する。副交感神経の興奮によりアセチルコリンが放出され、排尿筋(膀胱壁の平滑筋)のムスカリンM3受容体に作用して排尿筋を収縮させる。同時に内尿道括約筋も弛緩し、尿が膀胱から尿道へ押し出される。膀胱容量が約150〜300mLで初発尿意が生じ、約400mLで強い尿意となり、橋排尿中枢を介した排尿反射が誘発される。
- 誤り。排尿時には内尿道括約筋(平滑筋)も外尿道括約筋(横紋筋)もともに弛緩して尿の通過を許す。括約筋が収縮するのは蓄尿時である。
- 誤り。排尿は随意的な制御を受ける。外尿道括約筋は横紋筋であり陰部神経(体性運動神経)の支配を受けるため、大脳皮質からの指令で随意的に収縮・弛緩を制御できる。これにより、適切な場所・タイミングまで排尿を我慢することが可能である。
- 誤り。排尿中枢は仙髄(S2〜S4)に存在し、胸髄には存在しない。さらに橋にも上位排尿中枢(バリントン核)が存在し、排尿反射を統合的に制御する。
ポイント
- 排尿=副交感神経(骨盤神経)による排尿筋収縮が本問の核心であり、排尿の神経支配を正確に把握することが重要である。
- 覚え方のコツ: 「排尿=副交感」「蓄尿=交感+陰部」の組み合わせを確実に覚える。副交感神経は「リラックス時に活動する→排尿はリラックスして行う」と連想する。
- 関連知識: 排尿に関与する3つの神経(骨盤神経・下腹神経・陰部神経)の役割分担は問題440と共通のテーマである。尿失禁の病態理解にも直結し、腹圧性尿失禁(外括約筋の機能低下)と切迫性尿失禁(排尿筋の過活動)の区別に関連する。
- よくある間違い: 「排尿中枢は胸髄にある」と誤答するケースがある。排尿反射中枢は仙髄S2〜S4、上位排尿中枢は橋(バリントン核)である。胸髄には排尿に関する中枢は存在しない。
- 教科書では「c.蓄尿と排尿」の範囲に該当する。
| 項目 | 蓄尿時 | 排尿時 |
|---|---|---|
| 優位な神経 | 交感神経(下腹神経)+陰部神経 | 副交感神経(骨盤神経) |
| 排尿筋 | 弛緩(β受容体) | 収縮(M3受容体) |
| 内尿道括約筋 | 収縮(α受容体) | 弛緩 |
| 外尿道括約筋 | 収縮(陰部神経・随意) | 弛緩(陰部神経活動低下) |
| 排尿中枢の部位 | — | 仙髄S2〜S4、橋(バリントン核) |
表: 蓄尿時と排尿時の神経・筋の状態比較
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