問題
性周期について誤っている記述はどれか。
- 排卵に先立って黄体形成ホルモンの分泌が急激に増加する。
- プロゲステロンは排卵後に分泌が増加する。
- 黄体は着床が起こると退化する。
- エストロゲンは子宮内膜を肥厚させる。
解答: 3(黄体は着床が起こると退化する。)
解説
- 正しい。排卵の約24〜36時間前にLH(黄体形成ホルモン)の急激な分泌増加(LHサージ)が起こり、これが排卵の直接的な引き金となる。LHサージはエストロゲンの正のフィードバックによって誘発される。
- 正しい。排卵後に形成された黄体からプロゲステロンの分泌が増加し、子宮内膜を分泌期に移行させるとともに、基礎体温を上昇させて高温期をもたらす。
- 誤り。黄体は着床が起こるとhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)の作用で維持され、妊娠黄体として約12〜16週までプロゲステロンの分泌を続ける。退化するのは着床が起こらなかった場合であり、排卵後約14日で白体となる。着床が成立すれば黄体は退化しないのがポイントである。
- 正しい。エストロゲンは卵胞期に子宮内膜の増殖を促進して肥厚させ、受精卵の着床に備える環境を整える。この時期を増殖期と呼ぶ。
ポイント
着床が起こると黄体はhCGにより維持され(妊娠黄体)、着床が起こらなければ退化する。「着床→維持」が正しい関係である。
- 覚え方のコツ: 「着床→hCG→黄体キープ」「非着床→黄体退化→月経」の流れで覚える。hCGはLHと類似の構造で黄体を維持する。
- 関連知識: 妊娠検査薬はhCGを検出するものであり、着床成立の指標となる。hCGは胎盤の絨毛(栄養膜細胞)から分泌される。
- よくある間違い: 「排卵期にエストロゲンが増加する」と「卵胞期にエストロゲンが増加する」の混同。エストロゲンのピークは排卵直前(卵胞期後期)であり、排卵後ではない。
- 教科書では「i.卵巣のホルモン」の範囲に該当する。
| 時期 | 主なホルモン | 子宮内膜 | 卵巣の変化 |
|---|---|---|---|
| 卵胞期(増殖期) | エストロゲン↑ | 増殖・肥厚 | 卵胞発育 |
| 排卵期 | LHサージ | ― | 排卵 |
| 黄体期(分泌期) | プロゲステロン↑ | 分泌期(着床準備) | 黄体形成 |
| 月経期 | ホルモン↓ | 内膜剥離 | 黄体退化(白体) |
表: 性周期の各期とホルモン・子宮内膜の変化
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