問題
尿細管で起こる現象のうち体液の浸透圧を下げる要因はどれか。
- ナトリウムイオンの再吸収
- 水の再吸収
- 水素イオンの分泌
- ブドウ糖の再吸収
解答: 2(水の再吸収)
解説
- 誤り。Na+の再吸収は体液中の溶質(浸透圧活性物質)を増やすため、浸透圧を上昇させる方向に働く。
- 正しい。尿細管での水の再吸収は、溶質を伴わない自由水が体液中に戻ることで体液が希釈され、浸透圧が低下する。特にADH(バゾプレッシン)の作用で集合管から水が再吸収される場合、溶質を含まない水のみが移動するため体液の浸透圧は明確に低下する。浸透圧が低下すると視床下部の浸透圧受容器がこれを感知し、ADH分泌が抑制されるというフィードバック機構が働く。
- 誤り。H+の分泌は酸塩基平衡(pH)の調節に関与する反応であり、浸透圧の低下とは直接関係しない。
- 誤り。ブドウ糖の再吸収は浸透圧活性物質を体液中に戻すことであり、浸透圧を上昇させる方向に働く。
ポイント
- 水の再吸収は体液を希釈し浸透圧を低下させ、溶質(Na+、ブドウ糖など)の再吸収は浸透圧を上昇させる。
- 覚え方のコツ: 浸透圧=溶質/水で考える。「水が戻る→分母が増える→浸透圧↓」「溶質が戻る→分子が増える→浸透圧↑」と分数で理解する。
- 関連知識: ADHによる浸透圧調節は第7章D節(b.体液の浸透圧の調節)で詳しく扱われる。ADH分泌は視床下部の浸透圧受容器と心房の容量受容器で調節される。
- よくある間違い: 「Na+の再吸収は水も一緒に引く(浸透圧変化なし)」と考えがちだが、問題は「浸透圧を下げる要因」を問うており、水の再吸収自体が浸透圧低下の要因となる。
- 教科書では「c.体液量の調節」の範囲に該当する。
| 尿細管の現象 | 浸透圧への影響 | 理由 |
|---|---|---|
| 水の再吸収 | 低下 | 溶質を含まない水が体液に加わり希釈される |
| Na+の再吸収 | 上昇 | 浸透圧活性物質が体液に戻る |
| ブドウ糖の再吸収 | 上昇 | 浸透圧活性物質が体液に戻る |
| H+の分泌 | 影響小 | 酸塩基平衡への関与が主 |
表: 尿細管の現象と体液浸透圧への影響
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