問題
塩分を多く摂取したときに血中濃度が高くなるのはどれか。
- アルドステロン
- コルチコステロン
- パラソルモン
- バゾプレシン
解答: 4(バゾプレシン)
解説
- 誤り。アルドステロンはNa⁺再吸収を促進するホルモンであるが、塩分過多の状態ではNa⁺を排泄する方向に調節が働くため、RAAS(レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)が抑制されアルドステロン分泌は低下する。
- 誤り。コルチコステロンは副腎皮質から分泌される糖質コルチコイドの一種であり、ストレス応答に関与するが、塩分摂取量の変化に応じて特に分泌が増加するものではない。
- 誤り。パラソルモン(PTH)は副甲状腺から分泌され、血中Ca²⁺濃度の上昇とリン酸排泄を促進するホルモンであり、塩分摂取とは直接関係しない。
- 正しい。塩分を多く摂取すると血漿中のNaCl濃度が上昇し、血漿浸透圧が高くなる。視床下部の浸透圧受容器(視索上核・室傍核周辺)がこれを感知し、下垂体後葉からのバソプレシン(ADH/抗利尿ホルモン)分泌が増加する。バソプレシンは集合管のV2受容体に結合し、アクアポリン2の管腔側膜への挿入を促進して水の再吸収を増やす。これにより血漿浸透圧を正常範囲(約280〜295mOsm/L)に戻す方向に調節される。
ポイント
- 塩分過多→血漿浸透圧上昇→視床下部の浸透圧受容器が感知→バソプレシン(ADH)分泌増加→集合管での水再吸収促進、という浸透圧調節の流れが本問の核心である。
- 覚え方のコツ: 「塩辛い→のどが渇く→水を保持したい→バソプレシン↑」と日常感覚から連想する。バソプレシンの”プレシン(pressin)”は”press=押し込む”のイメージで、水を体内に押し込む(再吸収する)ホルモンと覚える。
- 関連知識: バソプレシン分泌の調節因子は主に2つ。(1) 血漿浸透圧の上昇(本問のケース)、(2) 循環血液量の減少(出血時など)。第8章・内分泌の下垂体後葉ホルモンと合わせて整理するとよい。
- よくある間違い: 「塩分過多→Na⁺再吸収促進が必要→アルドステロン↑」と誤答するケースが多い。塩分過多ではNa⁺はすでに過剰であるため、アルドステロンはむしろ抑制され、代わりにANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)が増加してNa⁺排泄を促進する。
- 教科書では「c.尿細管の再吸収」の範囲に該当する。
| 状態 | バソプレシン(ADH) | アルドステロン | ANP |
|---|---|---|---|
| 塩分過多 | 増加↑ | 減少↓ | 増加↑ |
| 脱水 | 増加↑ | 増加↑ | 減少↓ |
| 水分過多 | 減少↓ | 変化少 | 増加↑ |
表: 体液状態とホルモン分泌の変化
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