問題
交感神経活動に対する応答で正しいのはどれか。
- 気管支平滑筋の収縮
- 心拍数の低下
- 瞳孔の散大
- 排尿筋の収縮
解答: 3(瞳孔の散大)
解説
- 誤り。交感神経活動により気管支平滑筋はβ2受容体を介して弛緩(拡張)する。気管支平滑筋を収縮させるのは副交感神経(迷走神経)のムスカリン受容体刺激である。
- 誤り。交感神経活動により心拍数はβ1受容体を介して増加する。心拍数を低下させるのは副交感神経(迷走神経)のムスカリン受容体刺激である。
- 正しい。交感神経活動により瞳孔が散大(散瞳)する。交感神経の節後線維から放出されたノルアドレナリンが虹彩の瞳孔散大筋のα1受容体に作用し、瞳孔散大筋が収縮することで瞳孔が散大する。これは「闘争か逃走(fight or flight)」反応の一部であり、暗所順応や危険察知のために視野を広げる生理的意義がある。交感神経の瞳孔散大筋への経路は、視床下部→脊髄の毛様脊髄中枢(C8〜T2)→上頸神経節→節後線維→瞳孔散大筋である。
- 誤り。交感神経活動により排尿筋(膀胱平滑筋)はβ2(β3)受容体を介して弛緩する。これは蓄尿に有利に働く。排尿筋を収縮させるのは副交感神経(骨盤神経)である。
ポイント
交感神経は「闘争か逃走」反応として瞳孔散大・心拍数増加・気管支拡張・排尿筋弛緩など、活動に有利な方向に臓器を調節する。
- 覚え方のコツ: 交感神経の作用は「戦うための体」をイメージする。目を大きく開く(散瞳)・心臓を速く打つ(心拍数増加)・呼吸を楽にする(気管支拡張)・トイレを我慢する(排尿筋弛緩)。すべて戦闘に有利な方向に働く。
- 関連知識: 交感神経の節前線維の起始は胸髄T1〜腰髄L2(胸腰系)で、節前線維はアセチルコリン作動性、節後線維は主にノルアドレナリン作動性である。例外として汗腺の節後線維と副腎髄質はコリン作動性である。
- よくある間違い: 「交感神経=すべて収縮させる」と単純化しやすいが、気管支平滑筋や排尿筋のように交感神経刺激で弛緩する臓器も多い。受容体の種類(α1・β1・β2など)に基づいて判断することが重要である。
- 教科書では「h.自律神経系の神経伝達物質と受容体」の範囲に該当する。
| 器官 | 交感神経の作用 | 受容体 |
|---|---|---|
| 瞳孔散大筋 | 収縮(散瞳) | α1 |
| 心臓(洞房結節) | 心拍数増加 | β1 |
| 気管支平滑筋 | 弛緩(拡張) | β2 |
| 排尿筋(膀胱) | 弛緩(蓄尿) | β2(β3) |
| 内肛門括約筋 | 収縮(蓄便) | α1 |
| 血管平滑筋 | 収縮 | α1 |
表: 交感神経の主な臓器に対する作用と受容体
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