問題
シナプス伝達で正しいのはどれか。
- 頻繁に使用してもシナプスは疲労しない。
- シナプス小胞内に受容体がある。
- 両方向性伝達である。
- 酸素不足による影響を受けやすい。
解答: 4(酸素不足による影響を受けやすい。)
解説
- 誤り。シナプスは頻繁に使用すると神経伝達物質の合成・貯蔵が追いつかなくなりシナプス疲労が起こる。これは化学シナプスの易疲労性という特徴である。
- 誤り。シナプス小胞内には神経伝達物質が貯蔵されている。受容体はシナプス小胞内ではなく、シナプス後膜(シナプス下膜)上に存在し、伝達物質を受け取って信号を変換する。
- 誤り。化学シナプスの伝達はシナプス前終末(伝達物質を放出)からシナプス後細胞(受容体で受容)への一方向性伝達である。電気シナプス(ギャップ結合)は双方向性だが、化学シナプスは一方向性である。
- 正しい。シナプス伝達は酸素不足(低酸素)の影響を極めて受けやすい。神経伝達物質の合成、シナプス小胞への取り込み、エキソサイトーシス(開口分泌)、伝達物質の再取り込みなど多くの過程がATPに依存しているため、酸素不足によるATP産生の低下はシナプス伝達を速やかに障害する。脳虚血時に意識消失が速やかに起こるのは、シナプス伝達の酸素依存性が高いためである。
ポイント
シナプス伝達はATP依存性の多段階過程であるため、酸素不足の影響を受けやすく、易疲労性を示す。
- 覚え方のコツ: 化学シナプスの4つの特徴=「一方向性・シナプス遅延・易疲労性・薬物感受性」→ すべて「化学反応ならではの弱点」と理解する。酸素不足=ATP不足=化学反応できない。
- 関連知識: 脳は体重の約2%であるが、全身の酸素消費量の約20%を使用する。脳への血流が10秒以上途絶すると意識消失が起こり、数分で不可逆的な神経細胞死が生じる。
- よくある間違い: 「受容体はシナプス小胞内にある」と誤解しやすいが、小胞内にあるのは伝達物質であり、受容体はシナプス後膜に存在する。
- 教科書では「c.シナプス伝達」の範囲に該当する。
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